AIを使えば本当に文章は楽に書けるようになるのか/ Webライターの立場から考えてみる

エッセイ

AIを使えば文章は楽に書けるようになる、とよく言われます。
確かに、文章生成AIの登場によって、執筆にかかる時間や労力は以前より減りました。

一方で、「思ったほど楽にならない」「むしろ疲れることもある」と感じている人がいるのも事実です。
なぜ、このような差が生まれるのでしょうか。
本記事では、Webライターの視点から、AIと文章作成の関係を整理してみます。


1.AIを使えば文章が楽になると言われる理由

AIが文章作成に向いていると言われる理由は、主に次の点にあります。

まず、下書きや叩き台を短時間で用意できることです。
構成案や説明文、一般的な定義文などは、AIに任せることで一瞬で形になります。

また、情報整理の補助としても有効です。
要点を箇条書きにしたり、内容を分解して再構成したりといった作業は、人がゼロから考えるよりも早く進みます。

このように、「何を書くかが決まっている文章」においては、AIは確かに作業を楽にしてくれます。


2.それでも「楽にならない」と感じる人がいる理由

一方で、AIを使っても文章が楽にならないと感じるケースもあります。
その原因は、AIの性能不足というより、人間側に残る作業にあります。

たとえば、「何を伝えたいのか」「誰に向けて書くのか」が曖昧な状態では、AIに指示を出すこと自体が難しくなります。
結果として、何度も修正を重ねることになり、かえって時間がかかってしまいます。

また、AIが出力した文章を判断・取捨選択する工程は、人が担う必要があります。
正しいか、ズレていないか、読み手に伝わるか。
この確認作業は、AIでは代替できません。


3.体験として感じたこと

私自身も、AIを使えば文章作成はもっと楽になると思っていました。
実際、構成案や下書きが一瞬で出てくる点は便利だと感じています。

ただ、何を書きたいのかが曖昧なまま使うと、出力された文章を読んでもしっくりこず、修正を重ねることが増えました。
結局、考えが整理されていない状態では、AIを使っても作業はあまり減らないと気づいたのです。


4.結局、AIで楽になる文章と楽にならない文章

ここまでを整理すると、AIで楽になる文章と、そうでない文章の違いが見えてきます。

楽になりやすい文章

  • 定型的な説明文
  • 情報まとめ・要約
  • 構成案や見出し案の作成

楽になりにくい文章

  • 体験や考えを軸にした文章
  • 判断や価値観が問われる内容
  • 読み手との距離感が重要な文章

AIは「考えたことを言葉にする補助」には非常に優秀ですが、
「何をどう考えるか」そのものを肩代わりしてくれる存在ではありません。


まとめ

AIを使えば、文章作成の一部は確かに楽になります。
ただしそれは、考えが整理されている場合に限られます。

文章を書くうえで最も負荷がかかるのは、
「何を書くかを決める」「不要なものを削る」「伝わる形に整える」といった判断の部分です。

AIは文章を代わりに書く道具ではなく、
考えを整えるための補助輪として使ったときに、最も力を発揮します。

タイトルとURLをコピーしました